忘筌(ぼうせん)
筌(ふせご)というの竹編みで作られた漁具のことを言います。
禅の言葉で「忘筌(ぼうせん)」というのは「魚を獲ったら漁具のことは忘れなさい」
つまり「目的を達成したら手段やツールは忘れなさい」という意味です。
先日、ある和食の飲食店の個室でゆっくりと食事と会話を楽しんでいた所、若い店員が
私たちの会話に切り込んで「食後のデザートは何になさいますか?」とどう聞いても
マニュアル通りの話し方でずっと一人で話し続けました。
まったくの新人を一定のレベルまで引き上げるには確かにマニアルも必要かもしれません。
しかし、飲食店の本来の目的は美味しい料理とその空間を楽しんでもらうことにあるはず。
サービスのレベルが一定に達したら一旦マニュアル(漁具=手段)は忘れ「気づき」を
重視するサービスに転換することが必要です。
会社組織においてもマニュアルや規程は必要ですが「仏造って魂入れず」ではむしろ
マイナス面の方が大きくなるのではないでしょうか?
マニュアルや規程はそれ自体に縛られることがないように常に見直しが必要であり
究極のサービスとは「気づき」や「気配り」のレベルが高いサービスのことを言うのだと思います。
教育や研修もスタッフの「気づき力」を高めるものが今後ますます求められることでしょう。