成功は失敗のもと
「失敗は成功のもと」「失敗は成功の母」という言葉はよく聞きます。
失敗を前向きにとらえ、新たな学びを得ることで成功につなげる、ということですよね。
一方で「成功は失敗のもと」でもあります。
繰り返します。
「成功は失敗のもと」です。
成功体験にあぐらをかいて、新たな挑戦をやめてしまったり
成功によって得たポジションに安住してしまっては変化の激しいこの時代に
勝ち続けることはもちろん、生き残ることすら難しいでしょう。
現代の能を確立した世阿弥が今から600年ほど前に書き残した「風姿花伝」の中に
こんな言葉があります。
「住する所なきを、まづ花と知るべし」
これはひとつの場所に安住しないことが大事である、ということです。
能で言えば、同じ演目ばかりを演じていては目新しさがなくなるので
別の演目に変えていくことが、観客に支持され続ける秘訣だということです。
一度好評だったから、自分が得意とする芸だから、という理由で
同じ演目ばかり演じていてはだめだと言っているのです。
また世阿弥はこうも言っています。
「よき劫(こう)の住して、悪き劫(こう)になる所を用心すべし」
これは居心地の良い所に長居していると、居心地の悪い所になるから用心せよ
という意味です。
成功体験の味はきっと甘いでしょう。
しかし、そこに安住してしまって、次の一手を打ち損じれば、結局、他社にどんどん
追い抜かれてしまいます。
ですから、成功は失敗のもとなのです。