守・破・離(しゅ・は・り)
武道や芸道の世界でよく使用される『守・破・離(しゅ・は・り)』という言葉をご存知ですか?
この言葉は師匠と弟子の関係について語られたり、成長のステップとして語られたりしており
ビジネスの世界でも大いに参考になります。
「上司や先輩の指示はどこまで聞けばいいのか」
「(スポーツの世界なら)監督の指示はどこまで聞けばいいのか」
「自分が師匠を追い越してしまったら、師匠とどう向き合えばいいのか」
「どこまで自己流、自由に振る舞っていいのか」
成長の過程でだれしも壁にぶつかり、こんな疑問をもったことはあるのではないでしょうか。
『守・破・離』という言葉はそんな迷いを解消してくれるのに大いに役立ちます。
それでは順を追って説明していきましょう。
まずはステップ1『守』
例えば新入社員、もしくは新しい職場へ異動したり、転職したり
そんな時はとにかく師匠、上司、先輩が教えてくれたことを徹底的に真似します。
学ぶの語源は「真似(まね)ぶ」からきていますので、最初はとにかく真似ればいいのです。
仕事の「型」から入り、忍耐強く基礎・型を作る期間です。
どんなに不満があってもこの段階では教えてくれる人にはすべて「YES」でいいのです。
次はステップ2『破』
ある程度仕事ができるようになると、師匠や上司のやり方に疑問や不満を抱くようになります。
指導が窮屈になり、自分のカラーを出したくなります。
それでも完全に自己流になるにはまだ不安もあり、この段階では師匠や上司から教わった型を
少し破って、自分なりの工夫をするようになります。
ステップ3『離』
師匠や上司のやり方から完全に離れて、あるがままに、自分の道を追求していきます。
これが本当の自由の境地であり、新たな自分の道の始まりでもあります。
最近、新入社員の30%が入社3年で退職してしまったり、現状の職場に不満があるので
フリーランスで働きたい、というように雇用や働き方が多様化したり、流動化したりしています。
しかし、自分は本当に「生きた師」を持っているのか
自分は本当に自由でやっていけるのか、自分なりの型は十分に作ったのか・・・
いま一度、謙虚に自分の足下を見つめてみる必要もあるのではないでしょうか。
ちなみに能の世阿弥が真に自由の境地に至ったのは72歳だったそうです。
私自身、いま一度、多くの師から教えていただいたことを見つめなおして、
自分の「型」を再点検してみたいと思います。