経営者コーチングという仕事
「とにかく起業してから今まではずっとがむしゃらに突っ走ってきましたが
会社にとってビジョンというのは必要なんでしょうか?」(A社長)
「え?」「うーん、ビジョンねえ」「なくてもいいんじゃないですか」(私)
「・・・・・・・・」(A社長)
「でもね、ちょっと考えてみてください」(私)
「社長がもし就職活動しているとして、ビジョンのない会社に入社したいと思いますか?」(私)
「・・・・・・・・」(A社長)
「!!!」(A社長)
私の問いに対してA社長は気付きました。
会社が今後、新卒採用に注力するにあたり、学生たちに自らビジョンを語れなければ
いい人材が採れるはずはないのだ、という当たり前のことに気付いたのです。
私はコーチとしてたった一つの質問をしただけです。
「社長がもし就職活動しているとして、ビジョンのない会社に入社したいと思いますか?」
という質問を。
答えはA社長の中にありました。
このたったひとつの質問を機にクライアントであるA社長は劇的に変わりました。
選抜社員を集めて、ともにビジョンを考える会議を開催し
2020年のビジョンを創り上げました。
そのビジョンをもとにミッションを再定義、ビジョン実現に必要な即戦力人材を採用し
新卒採用にも注力、ビジョン作成からたった2年で12名の新卒採用を実現しました。
コーチングにはいろいろあります。
スポーツのコーチはもちろん、パーソナルコーチング、エグゼクティブコーチング・・・
私のコーチングのクライアントは、そのほとんどがオーナー経営者です。
自分を信じる力が強いからこそ、創業し、その強烈な個性とエネルギーで
会社を成長させてきた経営者ばかりです。
でも創業者だって人間です。
完璧ではありません。
いや創業オーナーほど、周囲がアドバイスしてくれないというケースの方が圧倒的に多いです。
3年以上経営者のコーチングを実践してきて感じることが2つあります。
一つは経営者こそコーチをつけた方がいいということ。
もうひとつは経営者こそコーチングのスキルを身につけた方がいいということです。
問いの力は計り知れません。
いくら優秀な経営者でも自分の考えを押し付けるだけでは会社の成長に限りがあります。
経営者自らが幹部や社員との対話の中に「問い」による一定の「間」を作ることで
幹部や社員は自らのアタマで考えるようになります。
社員全員が自らのアタマで考え主体的に行動する組織は無限大に成長を続けることができます。
経営者の最も大切な仕事とは、より多くのリーダー、次世代経営者を育成、輩出することですから。