禅とは何か? 鈴木大拙の言葉より
禅とは何か?
これほど答えが難しい質問はありません。
それは禅の教えそのものが「不立文字(ふりゅうもんじ)」
つまり文字や言葉で言い表せない実践や体験で体得するものだからです。
私自身も修行中の身、禅とは何か?を追求している身として
とても核心をついた先人の言葉をご紹介することで、皆さんと共有したいと思います。
禅の大家と言われる鈴木大拙(1870~1966)の言葉です。
禅とは何か?
「禅とは自己の存在の本性を見抜く術であって、それは束縛からの自由への道を指し示す。
言い換えれば、我々一人一人に本来備わっているすべての力を解き放つのだ、ということもできる」
少し解説してみたいと思います。
まず「禅とは術である」と言っています。つまりゴールに到達するためのスキルです。
ゴールは何かというと「束縛からの自由」だと言っています。
「本当の自分はこんなんじゃない」と思いながらも力を発揮できない日々。
周囲に合わせすぎて、本当の自分にふたをして、無理やり自分を納得させる。
夢はあくまで夢である。
子供の頃の夢は何処へやら、大人になると組織や社会に同調するようになる。
鈴木氏は禅を学ぶことで、座禅を実践することで、誰でもこのような束縛から自由になれると言っています。
さらに「我々一人一人に備わっているすべての力を解き放つ」とも言っています。
禅や坐禅というと難解で敷居が高くて苦しいもの、という印象がありますが
そのゴールは自由であり、本来の自分を解き放つことだ、と言っているのです。
鈴木氏は続いてこうも言っています。
「それは我々の心に生まれつき備わっている創造と慈悲の衝動を、すべて思うままに働かせることである。
一般に、我々はこの事実、すなわち、我々は自分を幸福にし、互いに愛し合って生きていくのに必要な機能を
ことごとく備えているのだという事実に気付かないでいる」
人間の本性、人間が生まれつき持っている衝動を「創造と慈悲」だと言っています。
「創造と慈悲」の全解放こそが自分自身を自由にし、自分と周囲を幸福にしていくと言っているのです。
新しことをスタートするときのワクワク感や、0から1を創り出す時の高揚感、
他人に良いことをして喜ばれた時の満足感が自分を幸福に導くと言っているのです。
人生の目的は幸福である、という考えを否定する人は少ないでしょう。
禅への探求が、人類が幸福へ辿り着くための術(スキル)だとすれば
禅は、現代社会が抱える様々な問題を解決する一筋の灯りとなり得るでしょう。
かつて日本が混乱を極めた戦国時代、禅が一気に日本人の心を捉えて浸透していったように。